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土と風と水を知っている。

by 榊花乃

絶望の所在を淡白な思考で決めないでほしい。ほしいなんて、欲すらないが。いつかどこかで、植えつけられた、途上国の貧しくてかわいそうな子ども、幸せの価値に気がつかないほど幸せな日本人、という固定観念を抱きながら下した淡白な判断を、心なく私たちに差し出していることを、知って少しは傷ついてほしい。

ううん、私は分かっている、途上国の子どもたちに会って分かったんだ。彼らにはお金がないかもしれない。だけど、目をキラキラと輝かせていた。彼らは、貧しいからこそ、物の有り難み、家族の有り難みに気がつくことができるんだ。

君は、そう言うのか。違うんだ、私がほしいのは。「思いの外」なんていう言葉から始まる感想なんかじゃないんだ。土と風と水を知る、ただ同じ人間だと言うことを、なぜ笑いあったのに、感じてくれないの。今君が、ふぅっと鼻から息をはいたのとぴったり同じ時に、私も同じよう息をはいていることを。君がまばたきをして、開いたばかりの目が、スマートフォン見つめている今、私が瞬きをして開いたばかりの目で、青いかやをぼんやり見つめていることを。
ただ、呼吸をしている限り、今という時間が、君にも私にも、誰にだって等しくあるということを、どうして分かってくれないんだ。きっと唯一それだけが平等なのに、君はそのことに気がつくこともなく、新しい人工的な平等を笑顔で持ってくる。笑顔につられて笑ってしまうのが悔しいが、笑ってしまうならそれでいいじゃないか、と思えないのは、静かに風がひとつ吹いた夜に、悲しみが湧くからだ。
平等だねと喜ぶのは、君たちだけではないか。私は、永遠に同じになんかなれないと、平等という言葉を聞くたびに絶望するのが苦しいんだ。私には私の道があってそこを生きればいい、そんな希望が少し見えているのに、同じ道を作ろうとしないで。

君がどんな不安を抱えて生きているかなんて、聞いちゃいないからわからないけど、君だって聞いちゃいないから私の喜びや不安なんて分からないでしょ。なのに、笑っているからって勝手に希望だけ持って帰って、それでもいいけど、それで分かった気でいるなら、それは全然分かってないってことだけは、知って少し情けなさを感じて。

絶望の所在を、ここだと決めつけて、何か考えることができるんじゃないかと私に会いにくるの。その挙句、「考えさせられた」というけれど、別に考えてと言った覚えはないよ。
会いにくる理由は、「性的暴行を受けた人に会いたいから。」。でもね、私もっと素敵なことにも出会って来たし、良いところだって色々あると思うの。その中で、性的暴行を受けたってところだけ、引っこ抜いて私に会いたいだなんて、ナンセンスだし、つまらない。

その君のつまらなさで、私を虚しくさせるのはもうやめて。


榊花乃
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